0歳児の発達の特徴とそれを助ける玩具について

 運動と精神は一体であるとモンテッソーリは言っている。子どもの意思があって動きがあって知性が発達する。全く動かないとしたら知性は伸びないであろう。又、感覚も精神面に影響があり、感覚運動が少ないと精神面で低い子どもになると言っている。

 子ども達は、物事を運動を伴って理解する。匂いを嗅ぐためにも運動を伴う。そして、環境を探索しなければならない。それにより、たくさんの体験ができる。だから整った環境が必要になってくる。そして、子ども達は環境の中でいろいろな体験を通じて知性を養っていく。

 整理された環境の中で関わったり動いたりすることは、子どもの目的を達成することになる。適切な教具、そして玩具を良いタイミングで与えることは、段階にあった刺激を与えることになる。

<月齢でみる発達>
0-3ヶ月 子どもが生れた時は余り動けない。1ヶ月くらい経つと上の方から始まる。
目――焦点が当てられるようになってくる。⇒ 視るためのモビールを吊るす。
仰向け。手が届くように。⇒ 上から、手を届かせるためのリングなどを吊るす

3ヶ月-  仰向け。握る玩具 ⇒ 色々な種類のガラガラ

5・6ヶ月- 支えがあってお座りが出来る。⇒ 一方方向に
転がっていく玩具。色々な種類のドリオなど。

6-7ヶ月 この時期になると、ひとつの手からもうひとつの手に物を移すことが簡単にできるようになる。1つの容器の中のものを1つの容器の中に移すこともできるようになる。座ることにより視線が上からになるので、口の開いた物の中に入れられるようになる。
又、突起のあるものに輪のようなものを入れ込むことができるようになる。

8ヶ月になると這い這いが始まり、10ヶ月になるとつかまり立ちができるようになる。だから、子ども達はいろいろ探索を始めるので、部屋中いろいろなものを置いておく。

 そして、子供の人生における2~3年間に非常に大変な変化が訪れる。1つの大きな変化の時期が8-9ヶ月に訪れる。「物体の永続性」の理解ができるようになる。つまり、目で見ていなくてもその物があるということが解ることである。(それまでは、物が目の前に無いと忘れてしまう。存在しないものになってしまう。)驚くべきことは、物を覚えている時期が這い這いの時期にくるということ。つまり、探しに行くことができる。哺乳類ができること――動く、探索するということが、他の動物と同じ時期にきたということである。つまり、赤ちゃんは人間としてある時点に到達したということになる。

 粗大運動は、ずり這い→這い這い(高這い)になる。それは、移動が早くできる、屋外でも動けることであり、いろいろな可能性が広がってくる。微細運動は、親指が人差し指の方向に向き合い、いろいろな物が取れるようになる、持ち上げられるようになる。 

又、ちょうど8・9ヶ月が、言語がよくわかる時期になる。それまでは〝単語がわかる〟だったのが、〝文章がわかる〟ようになる。それは脳の発達にかかわる。例えば「散歩に行きましょう。」「パパが帰ってきましたよ。」などが解るようになる。そして、誰か知らない人が入ってくると恐れる時期になる。そして、この頃までに離乳が進んでくると、だいたい10ヶ月くらいで完了することになる。
この時期に提供する教具は、座った状態で目と手を使う活動になる。環境の中で動き回れるので、子供部屋にあえて置く必要は無い。

 絶対に考えておかないといけないことは安全と衣服についてである。安全のために、大人が使うような部屋の戸を閉めておくことは全くかまわない。家中に置いておいても良いが、子供が使えるように準備された部屋でないといけない。また、裾を踏んで転倒するような衣服はよくない。              

                    2005.AMI横浜0-3コース講義より