指しゃぶりなど こどもの習癖について
このページでは、「子供にみられる習癖」について考えたいと思います。
こどもにみられる習癖の種類
1) 体をいじる習癖
- 指しゃぶり
- 爪かみ
- 舌なめずり
- 鼻・耳ほじり
- 目こすり
- 咬む
- 引っ掻き
- 性器いじり
- 抜毛癖
2) 体の動きを伴う習癖
- 律動性習癖:頭打ち、首振り、身体揺すり
- 常同的な自傷行為
- チック
3) 日常生活習慣に関する習癖
- 食事:異食、偏食、拒食、過食、反芻
- 睡眠:夜驚、悪夢、夢中遊行
- 排泄:遺尿、夜尿、遺糞
- 言語:吃音、緘黙(特定の場面でほとんど話す事が出来ない)
4) 体質的要素の強い習癖
- 反復性の腹痛
- 便秘
- 下痢
- 嘔吐
- 乗り物酔い
- 頭痛
- 立ちくらみ
- 咳そう
- 憤怒麻痺(泣きいりひきつけ)
5) その他の習癖(非社会的など)
- 虚言
- 盗み
- 金銭持ち出し
- 徘徊
- 嗜癖
習癖異常の要因としては
最近では、心理的要因のみでは説明できないことも多いと考えられている。一つには子ども自身の体質的要因が考えられる。気質的に生まれつき神経質で、何に対しても過敏でデリケートで怒りっぽく、頑固な場合に、習癖異常を形成しやすいことが想定される。
そして、その子どもの気質と養育者の子育てのあり方の相互作用が、さらに習癖異常と関連すると思われる。又、発達との関連が示唆されているが、脳の中枢神経の成熟過程とも関連していることが指摘されている。
「習癖異常について」飯田 順三(精神医学)
「指しゃぶり」について
超音波診断装置(超音波エコー)により、胎児が母親の子宮内ですでに指をしゃぶっている様子が観察される。
乳児期の指しゃぶりは、身体器官の中で最も早期から発達している口と、運動機能において最も自由に動かすことのできる手の協調運動が、早い段階から発達するために起こると考えられる。
生後2~4ヶ月では、口のそばにきた指や物をとらえて、無意識に吸っている。
5ヶ月頃になると何でも口に持っていってしゃぶる。この時期は、しゃぶるというよりも、なめまわしたり、吸ったりしており、母親の乳房に吸いつく時の舌の動きを、そのままそっくり反復していることがわかる。
1~2歳頃になると、手を使う遊びが増えることにより、昼間の指しゃぶりは減少し、退屈な時や眠い時に見られるようになる。
3歳以降になると、家庭の外で友達と遊ぶようになり、それに合わせて、指しゃぶりが減少する。
指しゃぶりは、基本的には、発達の経過中に一過性に見られる生理的な行動と考えられている。又、子どもが何もやることがない時に見られることが多いので、「手もちぶさた」の現れと考えられる場合がある。
「小児科と小児歯科の保険検討委員会」では、指しゃぶりの対応として、声かけや一緒に遊ぶ子どもとのふれ合いを大切にすること、子供のしてほしいことや、したいことを満足させるようにこころがけることを提案している。これらを総合すると、指しゃぶりそのものをやめさせるということだけに気をとられるのではなく、元気に明るく生活がおくれるように配慮することが勧められる。
又、指しゃぶりによって、上下の歯の間に隙間があいてくると、その隙間に舌を押し込んだり,飲み込む時に舌で歯を強く押し出すような癖が出やすくなる。舌癖があると、発音が不明瞭になることがある。又、前歯が突出していると、舌を閉じにくくなり、いつも舌を開けている癖がつき、口呼吸をしやすくなる。
これらの点から、小児歯科医では、4~5歳を過ぎた指しゃぶりは、指導した方がよいという意見が多いようである。
「さまざまな困った癖」金子 一史(発達心理)
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