こどもへの愛情の必要性

このページでは、こどもへの情緒的な愛情の必要性について考えてみたいと思います。

人間の肉体の成長に食料の質が大切であるのと同じように、精神的糧も必要です。

情緒的な支え・支援が足りないと、子どもは愛されていないと思ってしまいます。

人間というのは全生涯を通じて愛情と支えを必要としています。特に誕生の時期に足りないと生涯に大きな影響を与えることになります。

子どもにとって最初の環境は親なので、その存在にまず注意が必要です。

子どもを愛するという能力は哺乳類が発達させてきた感情である。食べ物だけでは人間の発達に充分ではない。

私達は時間を越えて環境に適応していく心の支え・情緒的ケアーを必要としている。そして、生まれたばかりの数ヶ月をどのように扱ったかが、赤ん坊が親になったときのモデルとして影響する。自分を大切にしようという感情がその時期に芽生えてくる。

自分を愛することは難しい。しかし、自分の中に内なる父・内なる母を持っていて、ケアーをしてくれるという形を形作る。自分自身がよき父・母であり、その良き父・母が自分をケアーする状態を作らないといけない。

子どもの時期に内なる父・母を作っておけば、肉体的父・母と離れていても、自分をケアーすることができる。
故に、人生の最初の時期に充分に愛されることは、人生にとって不可欠のことである。そして、人というのは成長をする家庭で様々なモデルを身につけていく。

イギリスのスーゲー(精神学者)は、「なぜ愛は重要なのか?」の著書の中で、子どもは幼児期に充分な愛情を得なければ、様々な疾患、ひいては体の不調をも引き起こす、と書いています。

精神の一つ目の足は、生後二ヶ月に生えてくる。環境に対する信頼である。適切なケアーを受けた子どもは健全な発達を遂げていく。逆に欠乏した場合、生涯の様々な分岐点に様々な影響が見えてくる。故に、母親が愛情を充分に与える、特に誕生~2才の間に充分に愛することが重要です。

0-2歳の時期に、母性愛が欠乏した場合。つまり、衛生的で、きちんと食糧も与えているが、愛情が欠乏した場合、大きなダメージを与える。

母性愛の代わりになるものでもよい。母親が密着した状態は、精神的ベースが出来る不可欠な要素である。そして、まさにその時期に〝共生期〟があるのである。

それは、環境への適応の第一歩を踏み出す。環境がどんなものか信頼するに足りると確認したときに、次に行けるのである。そして、この共生期が滞りなく終われば、赤ん坊は楽観的で人生は楽しいものだと感じることになる。

授乳を経て、適切な時期に離乳がおこなわれることも重要である。子どもが密着するのはおっぱいではなく、愛情である。その代用におしゃぶりを与えても、それは人の代用にはならない。赤ん坊は人間に対して愛情を抱くように出来ている。物に愛情を抱く人は間違いであると見なされる。

妊娠・授乳の時期に唯一の人と結べる関係を〝優先関係〟と呼ぶ。これは、生涯続く。その母と子は、その子が大きくなっても母であり、父と息子といった関係も一生続く。そして、9ヶ月目には二本目の心の足が育つ。自分自身への信頼、〝自我〟である。それを考えると、0-2歳は重要である。何かが起こった場合、残りの人生に大きな影響を与えていく。