『離乳』について

このページでは、モンタナーロ博士の「いのちのひみつ」を参考に、離乳についてまとめてみたいと思います。

 自立への道のりは、生物学的側面と心理的側面の両方で進んでいきます。このとき、一方が他方を助けるので、この両面を別々にして考えてはなりません。この自立の道において離乳は大切な段階です。

 子どもは、生後の一年間に大変な勢いで成長するので、5カ月ともなると、母乳だけでは不十分になります。母乳は、誕生直後の赤ちゃんにとっては、大変に貴重なものですが、すぐに固形物によって補われる必要が出てきます。生後5ヶ月になると、「離乳の敏感期」を迎えたという、以下のような非常にはっきりとした兆候が見られます。

生後5ヶ月に見られる離乳のはっきりとした兆候

  1. 妊娠期間中に蓄積していた鉄分が、なくなり始める。
  2. プチアリンという、デンプンを消化する酵素が唾液の中に見られるようになる。
  3. 乳歯がはえ始める。
  4. 子どもは這うことができるようになり、身近なところを動くことができるようになる。
  5. 子どもは手の動きを上手にコントロールできるようになり、手で食べ物を つかみ、自分のペースで食べられるようになる。
  6. 子どもは、少し支えがあれば座ることができるようになる。
  7. 子どもは、外界に対して強い関心を示すようになり、色々な種類の食べ物にも、関心を向けるようになる。

 以上のような今までに見られなかった兆候が現れたとき、子どもの中に大きな変化が見られます。固形物が食べられるようになったということは、自立をさらに進める準備が整ったということの現れでもあります。(中略)吸うという形態から噛むという形態へと移行しようとしているのです。食べ物が変わっただけでなく、介助する大人との位置関係が変わります。この段階で母乳以外の物を食べる時には、子どもは母親の正面に座るようにすべきでしょう。

こどもの月齢と離乳食

3~5ヶ月・・・離乳の準備

※最近、「離乳」に驚くことが起こっていると、離乳食の研修会に参加した給食担当の先生から聞きました。赤ちゃんの体のコンデションに気がつかないお母さんが、無理な離乳食を与え、かえって健康を阻害し成長によくない事が起こっているというのです。それで、一般的に離乳開始の時期を遅らせたがよいということでした。聞き伝えなので、それ以上は良くわからないのですが、環境の現代化など で弱い赤ちゃんが増えているのでしょうか?とりあえず保育園も安全のために、離乳開始を遅らすことにしました。

5ヵ月・・・季節の果物の果汁を小匙1、2杯ほど与える。

(保育園では、玄米クリームを作って与えています。)
また、ミネラルを多く含んだ野菜スープをあたえるとよい。もし子どもがすぐスープにあきてしまったら、子どもを抱き上げて、母乳をあげ、足りない分を補う。

6ヵ月・・・裏漉しにしたものを与える。

歯が生え始めるので、より固めの食べ物を与えていく。(持って食べられるようになるので、一例として「歯がためパンの作り方」を下記に載せています。)

7ヵ月・・・細かい潰しにした物を与える。

(2回食になる)どんな食べ物でも試みてよい。

8,9ヵ月・・・粗い潰しにした物を与える。

大人が食べられるものはほとんど何でも食べられるようになっている。

※気をつけること

  • 目の前に食べ物が山ほど盛られていて、とても食べきれないと子どもが感じることがないように、くれぐれも気をつける。
  • 離乳を楽しいものにする。強制しない。もし子どもがある食べ物を嫌がったら、次に同じものをあげるのは何日か間を置いてからにする。もしそれでも嫌がったら、何らかの理由で受け入れられないのだと考える。無理強いされると、子どもの食べ物に対する思いは永遠に歪められのことになり、それが、食べ物と関係するあらゆる心理的な病気の引き金になり得る。
  • 混合栄養と人工栄養――牛乳に含まれるタンパク質を消化するには、少なくとも母乳よりも30分余計に時間がかかる。授乳の間隔を長くすることが不可欠になる。自由に赤ちゃんがほしがったときに授乳することは無理である。吸うことの目的は、ただ単にミルクを飲むことばかりでなく、母子がお互いに知り合い、関わる機会を提供することである。どれほど量がわずかであるとしても、母乳をあげること自体が、大変に効果のあることである。人工栄養に潜む本当の怖さは、子どものそばに居る人がいかに大切であるかが忘れられて、単に空っぽの胃を満たすために、ミルクを与えさえすればいいと思いがちなところにある。

≪歯がためパンの作り方≫

6ヵ月~7ヵ月頃、自分で持って食べられるようになってからが目安のおやつです。

材料

  • 強力粉・・・500g
  • ドライの天然酵母・・・約3g
  • 塩・・・少々
  • レーズン・・・適量(刻んでおく)
  • 水・・・210~220cc程度(生地の状態で変わる)

作り方

  1. 強力粉、天然酵母、塩、レーズンを大き目のボールに入れ、よくかき混ぜる。
  2. 水を少しずつ加えながら、しっかりとよく混ぜ、こねる。(20~30分程)
  3. 一つの塊にし、ボールに入れたままラップをして発酵させる。
    ※目安:気温30度で2~3時間程おく。(2倍程の大きさになるまで)
  4. 4~5等分に分け、まな板の上などで叩いて空気抜きをする。
  5. 適量を取り、棒状に丸める。(子どもが食べる時に握りやすいくらいの大きさ
    に)
  6. 170度のオーブンで15~17分焼く。
    ※冷めてから冷蔵庫に入れて保存し、食べる前に再度オーブンで少し焼いて食べる。

参考著書

『いのちのひみつ』 シルバーナQ.モンタナーロ 訳・監修 マリア・モンテッソーリ教育研究所  KTC中央出版