からだと向き合うお産

先日、「からだと向き合うお産」のお話、という内容の研修に行きました。末娘も23才になり・・・遠く過ぎ越してきたお産なんて今更、と思ったのですが、保育園で「子育て支援」をしているのでお母さん方と話す機会が多いから、ということで行くように言われたのでした。

 田中みちえさんという助産婦の方が話されたのですが、私が市立病院でやった三度の「お産」とはかなり異なった考え方だったのでとても驚きました。

 まず、重力を利用した方が良い。産みやすい姿勢で産んだ方がよい。従って起き上がった姿勢の方が出やすい、と言われるのです。病院の分娩台でのお産は、背中を下にするので血管が圧迫されやすく赤ん坊の心音が弱くなりやすい。又、神経が圧迫されるので痛みが強くなりやすいというのです。

8~9割りは、きちんと準備をしていけば自然に産めるとのことですが、その「きちんと準備をしていけば」が、生活自体が楽になりすぎた現代では難しいとのことでした。それで、田中さんは、妊娠した時から付き添い、足腰を強くするために必要があれば妊婦と一緒に山に登ったりもされていました。(ビデオより)

 そういえば、私の育った時代は、熊本の田舎だったこともあるでしょうが、小学校中学年の頃までは、まだ炊飯器も湯沸かし器も洗濯機もありませんでした。炊事場のかまどの前にしゃがみこみ薪をくべ夕飯を準備したり、井戸のポンプから長い竹筒を通して五右衛門風呂に水を溜め、薪や木箱を崩したもの等をくべてお風呂を沸かしたりするのが、夕方の毎日のお手伝いでした。羊やヤギも飼っていたので、学校から帰ると籠とカマを持って、仲好し三人組で遊びがてら、あちこちの田んぼのあぜ道の草を刈りに行くのも日課でした。

 この50~60年の間に、何と体を使わなくても生活ができる環境になったのでしょう! 私達は、電気やガスに仕事をやってもらい、代わりに料金を払って、自分の体を弱くしていたのですね。

 「産む」ということは、昔から少しも変わらず自然のままなのだと、当たり前のことを思い知ったのでした。それはまた、保育園で子育てに日々悪戦苦闘している私が、「子どもや子どもの発達は昔から変わらないのですよ。」と便利になった生活の中で、なかなか子どもに向き合えないで子どもを育てているお母さんに言いたいことと同じでした。

 最後に、「心と体を鍛えて自分で産む」ことが大切。そのためにはプロセスを大切にすること。産み方を考えることは生き方を考えることである。「この子を産んでよかった」というお産をしてほしいと言うことでした。
 いずれにせよ、戦後の闇雲な発展を考え直す機会に出会わされる昨今ですね。