38億年の生命の歴史が持つ意味とは?
先日、中村 桂子氏の「子どもの生きる力を信じて」という題の講演を聴きました。専門は『生命誌』だそうです。
いきなり「最近の社会はつらい!」「こんな社会を渡すつもりではなかった。」と言われました。余りにも、しみじみと、心から辛そうな様子に、私も社会というものを遠くから眺めてみました。そして、今の社会をそんな風に感じるのかと感嘆したのでした。
又、“まど みちお”の『世の中に「?」と「!」と両方あれば、他にはもう何もいらん。』という言葉を引用され、子どもはこれのかたまりだと言われていました。
NHKラジオの生放送で、命の相談をしてきた。その中に「生き物はどうして死ぬのですか?」という子どもからの質問があった。その答にもなるのだが…と話をされました。
38億年の生命の歴史の中で、初めは、生き物は死なずに分裂して増えていった。皆同じものが生まれた。25億年以上は、死はなかった。オスとメスが出来てから死ぬようになった。オスとメスが一つになることで多様性が生まれた。その多様性のお蔭で、5度の絶滅の危機を、誰かが生き残り、生をつないできた。もし、皆が同じだったらどこかで命は全滅していただろう。
私達もゴキブリも、元は同じ。今在る生き物は、全て38億年の歴史を持っている。本当に、色々な生き物がいる。170万種というが、実際は何千万種もいるはずだ。そして、一人として同じ子どもは生まれない。
生物は、地球上に棲息する多様な生き物たちは全て、38億年昔の海の中にいた細胞を祖先とする仲間であるということを基本に、「生きているってどういうことなのだろう」と考え、科学をしてきた。
そして、生き物の複雑さを考えることが、生きることではないか(生きるためには他の生命を使う)! 人とのつながり、他の生き物とのつながりの中に自分がいる、と話されました。
私は、それらの話を聴いて、私が今存在している場所の、縦の軸と横の軸がはっきり見えたように思いました。そして、講演でのお話に感動した私は、早速、中村 桂子氏が尽力して建て、今も館長をされているという「JT生命誌研究館」に行ってみることにしました。宿泊していた新大阪から、JRの京都行に乗り、高槻で降りました。少しわかりにくいのですが、歩いて10分くらいの所にあります。
38億年の生命の歴史を、科学的に、色々な角度から、実際の物を使って具体的に展示し、説明してありました。是非、行ってほしいと思います。著書も面白いので、是非読んで下さい。
※「科学者が人間であること」岩波新書1440
「科学技術時代の子どもたち」岩波書店 など