トイレが要らない紙パンツ?!

先日、『子育て支援』を要請され、団地の集会所へ行きました。2~4才の子どもを連れたお母さん方が10組ほど来られました。体操、絵本、紙芝居、運動、パネルシアターをし、最後に玩具を一つずつ出し、作れそうなものは作り方等を説明し、その後その玩具で遊びました。

 「楽しかった」と言う声もあったので、私も嬉しかったのですが、一つどうしても気になることがありました。それは、初めから終りまでの1時間半の間、誰もトイレに行かなかったことです。「トイレは?」というお母さんのささやきも聞こえなかったことです。そんなことある?と私は思いました。

 私の保育園では、腰を上げて這い摑まり立ちを始めたら布オムツから布のパンツに切り替え、午睡の後やご飯の前にオマルに座る練習を始めます。というのは、もうオシッコが出たことが分かるからです。「出来ることはやる」のです。出来ることを繰り返しているうちにもっと出来るようになります。

 紙パンツは、せっかくオシッコが出るという感覚が分かるようになったに、オシッコが出たことを子どもに教えてくれないので、良いわけがありません。「オシッコが出た→パンツが濡れた→気持ちが悪い」という身体の感覚が脳に伝わらないのです。それで、そのあとに続く「パンツを取り替える→気持ちが良い」という感覚も当然芽生えず、いつまでも紙パンツに頼った生活が続くことになります。

 それに、「紙パンツ」とは名ばかりで、紙はわずかしか含まれておらず、すこぶる通気性の悪いものだそうです。水を通さないものが空気を通すはずがないでしょう、ということです。
 子ども達は「紙パンツ」という名のビニールパンツを年中履かされ、すこぶる不快に過ごさざるをえないことが、非常に子どもの精神の発達に良くないのだそうです。ちなみに、紙パンツが流行る前は「1歳の夏までにはオムツがとれるのが基本とされていた」そうです!

 「三つ子の魂百まで」といわれる大切な時期に、不快な思いをたくさんして過ごした子ども達はどんな大人になり、どんな社会を創るのでしょう?
 戦争のない平和な社会が、その先に見えればよいのですが。思いやりのある活気にあふれた社会から遠ざかっていくような気がして、危惧せずにはいられません。     
          参照:マクロビオテックマガジン「むすび3月号」
                      小児科医 真弓定夫 著